知能検査・発達検査は何のために受ける?受けるのが不安な時に読んで欲しい話
- oyakokangaroo
- 7月23日
- 読了時間: 4分
今回から数回にわたって、WISCやWAIS、田中ビネー、新版K式などを代表とする「知能検査・発達検査」についてお話ししていきたいと思います。
「知能検査・発達検査って何?」という基本的なところについては、もしご希望があればまた別記事で書いてみようと思っています。
臨床心理士が扱う検査には、他にも人格検査や認知機能検査などがありますが、今回は「知能検査・発達検査」のことを、『検査』と呼んでお話ししていきます。
「明日、知能検査を受けるから、良い得点が取れるように練習したい。」
時々SNS上にそんな投稿を見かけます。
ご自身よりも、お子さんが検査を受ける場合にしばしば見かける気がします。
そういった想いが出てくる背景には、きっと切実な不安や願いがあるのだとう思います…想像すると、様々な想いが浮かんできます。
検査はなんのために行うのか。
そんな不安なでも、検査をすると、どんな良いことがあるのでしょうか。
検査は「自分の得意・苦手を把握し、今後に活かすためのもの」。
今の自分を理解し、これからを考えていく材料にしていくことができます。
そして多くの場合「困り感」とセットで行われます。
「困り感」とは、「〇〇がうまくできない」「△△が苦手」といった、その人が抱える日常の困りごとです。理由なく検査を受ける機会を得ることはあまりないかと思います。
検査を通して、得意・不得意がわかることで、「なぜこの困り感が起きているのか」「どうすれば今より少しラクになるのか」といったことを、一緒に考えるきっかけにできるのです。
「得意不得意を知る」ことで、「どうしてうまくいかないのか」が理解できる。「じゃあどうすればいいのか」が考えられる。
それが、検査のいちばんの価値だと私は思っています。
ちなみに、もし困り感がない場合でも、生活の仕方や作業のやり方を「自分に合った方法」に変えるためのヒントとして活用することも可能です。
問題、答えを知らない状態で受けることが大切
受ける方の不安のひとつに、「低かったらどうしよう」がしばしばあります。
検査の問題や答えを知っていたら、得点は上がりますよね。だから練習したくなるんですよね。でもそれをしてしまうと、自分の本当の得意や不得意が結果に現れなくなってしまいます。
受験に例えると、答えを事前に見た状態で、模試(検査)を受けるような感じでしょうか。それ、受験本番(日常生活)で何にも活かせないですよね。
実際、私が学生時代に知能検査の授業を受けるとき、先生から
「この授業を受けると、もう一生この検査で正しく自分の知能を測ることはできません。だから知能指数を知りたい人は、来週までに受けてきてください」
と言われました。
それは検査が「作為のない、自然な状態で受けること」によって意味を持つからなんですね。
余談ですが、だから検査を作っている会社は、限られた人にしか売らなかったり、様々なルールを作ったりと、工夫をしています。
それは検査を受ける前に検査問題を見てしまうなど、受ける人の不利益にならないようにするためです。ルール違反、倫理違反を行うことは専門職として決して許されないことです。
でも練習したくなる気持ちがあるのは、自然なこと
「検査で失敗してほしくない」「思うような結果じゃなかったら受け止められない…」そう思うのは、親として、ご本人として、当然のことです。
そういった葛藤があったり、検査を受ける負担がある中、検査を受けるに至っている可能性を、心理士は考えています。
だからこそ、心理士は最大限の力を尽くして検査を実施し、持てる知識を総動員して解釈し、今後に活かせる方法をそこから考え、きちんと言葉を尽くして結果の説明を行います。葛藤がある中でも、受けたことがきちんとその方のプラスに働くように。
不安や悩みは、一人で抱えずに
それでも、はじめに書いたように検査を受けることになったけれど、やっぱり不安。検査結果を見て、落ち込んでしまった…。
そんなふうに感じる方も、きっといらっしゃると思います。
そういった気持ちは、ぜひ私に聞かせてください。
たくさんの検査を行ってきた立場だからこそ、一緒に考えられることもあるかと思います。
いつでもご相談お待ちしておりますね。
